水は、犬や猫の健康を保つためにとても大切なものです。毎日しっかり水分を摂り、健康的に排尿してほしいものですよね。しかし、「うちの犬や猫が水をあまり飲まない」と心配されている方も少なくないかもしれません。
今回は、水を飲まないことがどのようなリスクを伴うのか、考えられる原因、そして具体的な対策方法について解説します。

■目次
 1.犬や猫が水を飲まないことの危険性とかかりやすい病気
 2.犬や猫が水を飲まない時に考えられる原因
 3.犬や猫に水を飲んでもらうための対策方法
 4.どうしても水を飲まない場合は、動物病院に相談を
犬や猫が水を飲まないことの危険性とかかりやすい病気
水を十分に摂らないと、犬や猫は脱水状態に陥ることがあります。
 脱水は体にさまざまな影響を及ぼし、元気がなくなり、食欲が減るだけでなく、嘔吐や便秘を引き起こすこともあります。
 また、皮膚の弾力が失われることや、目がくぼんでくるといった見た目の変化も見られることがあります。
さらに脱水が長引くと、腎臓などの尿路系のトラブルや、歯周病といったお口のトラブルに発展することもあるため、注意が必要です。以下に代表的な病気をご紹介します。
・腎臓病
 特に高齢の猫は飲水量が少ないと、慢性腎臓病を引き起こすリスクが高まります。
猫の慢性腎臓病についてはこちらで解説しています
 犬の慢性腎臓病についてはこちらで解説しています
・尿路結石
 水分摂取と排尿が十分でないと、腎臓や膀胱、尿道に結石ができることがあります。
・膀胱炎
 水を飲む量が少ないと排尿が減り、膀胱炎になることがあります。
・歯周病
 飲水量が少ないと口内を清潔に保ちにくくなり、その結果、歯周病などの口内トラブルに繋がることがあります。
犬や猫が水を飲まない時に考えられる原因
犬や猫が水をあまり飲まない理由としては、環境の問題や健康上の問題が考えられます。それぞれの原因を詳しく見てみましょう。
<環境の問題>
環境に関する問題としては、以下のような理由が考えられます。
・水を飲む場所が遠い
 水を飲むために動くのが面倒だと感じているかもしれません。特に高齢の犬や猫は、このような行動が億劫になることがあります。
・水が清潔でない、または温度が適していない
 汚れた水や冷たすぎる水だと飲む気を失ってしまうことがあります。常に新鮮で適温の水を用意することが大切です。
・水入れの容器が気に入らない
 容器の形状や材質が好みに合わないこともあります。容器を変えたタイミングで飲む量が減った場合は、元の容器に戻すか別のものを試してみるのも手です。
・寒さを感じている
 寒い時期になると活動量が減り、自然と水を飲む量が少なくなることがあります。
<健康上の問題>
健康に関わる原因としては、以下のようなものが挙げられます。
・歯周病や口内炎
 口内に痛みや違和感があると、水を飲むのが嫌になってしまうことがあります。
・高齢化や関節疾患
 年齢を重ねることで、体が動かしにくくなり、関節の痛みで水を飲む姿勢がつらくなることがあります。このような場合も、水を飲みに行くのが負担になっている可能性があります。
犬や猫に水を飲んでもらうための対策方法
水を飲んでもらうためには、ちょっとした工夫が効果的です。
 まず、水飲み場を犬や猫がよく過ごすお気に入りの場所の近くに複数設置することで、いつでも手軽に水を飲める環境を整えてあげましょう。
 また、容器を変えたり、水が流れるタイプの自動給水器を試してみたりするのもよいでしょう。流れる水は好奇心を引き、飲む量が増えることがあります。
水が常に清潔であることは基本ですが、寒い時期には冷たい水よりも、少し温かい水を好む場合もあります。特に冬は熱湯ではなく、体温よりややぬるめのお湯を準備してみてください。
 逆に、夏には氷が好きな子もいるため、氷をそのまま与えたり、容器に浮かべたりすると遊びながら水を飲んでくれることがあります。
 犬の場合、運動をした後に自然と飲水量が増えることもあるため、散歩や遊びの時間をたくさん取り入れるのもおすすめです。
一方、猫に関しては、時折「水道の蛇口を舐める癖をやめさせたい」という相談を受けることがあります。
 これは、猫が水そのものに興味を持っている場合や、蛇口そのものに執着している場合があります。水に興味があるなら、流れるタイプの給水器を用意することで解決することが多いでしょう。
 蛇口自体が好きな場合は、水入れをステンレス製などの蛇口に似た素材にしてみるのもよいでしょう。
さらに、猫が水を飲まない原因としてストレスなどが影響していることも考えられるので、水に限らず、生活環境全般を見直すことも大切です。
どうしても水を飲まない場合は、動物病院に相談を
水を飲まない理由は、犬や猫それぞれで異なります。今回ご紹介した方法を試してもなかなか水を飲んでくれない場合は、何か病気が隠れている可能性も考えられます。
どうしても水を飲まない場合は、ぜひ当院にご相談ください。愛犬や愛猫の状態をしっかり確認し、一緒に最適な対策を見つけましょう。
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