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愛犬・愛猫がごはんを食べない原因と対策|食欲不振はすぐに病院へ行くべき?

「急にごはんを食べなくなった」「お気に入りのフードにも見向きもしない」
そんな姿を見て、心配になったことはありませんか?

食べることは、健康の基本でもあり、元気のバロメーターでもあります。愛犬・愛猫の食欲は、体調の変化をいち早く知らせてくれる大切なサインです。「ごはんを食べない」の背景にあるかもしれない体調の変化に、早めに気づいてあげましょう。

今回は、食欲不振の原因や見極めのポイント、家庭でできるケア、動物病院を受診すべきタイミングまでを解説します。

■目次
1.正常な食欲と食欲不振の見分け方
2.食欲不振を引き起こす主な原因
3.こんなときは早めに動物病院へ|受診の目安と注意ポイント
4.ご家庭でできる食欲不振時のケアと対応
5.食欲不振を防ぐために大切な日々の健康管理
6.まとめ

 

正常な食欲と食欲不振の見分け方


犬や猫の食事量や回数は、年齢や体格、運動量によって異なります。以下は、あくまで一般的な目安ですので、ご参考にしてください。

<犬の場合>

成犬(1歳以上)は、1日2回に分けて与えるのが一般的です。
・小型犬(例:トイプードル):1日あたり約70~120g
・中型犬(例:柴犬):1日あたり約128~183g
・大型犬(例:ゴールデン・レトリバー):1日あたり約230g以上(個体差あり)

<猫の場合>

成猫(1歳以上)は、1日2~3回に分けて与えるのが一般的です。
・体重4kgの猫:1日あたり約55~70g

ただし、犬や猫の食べ方には個性があります。もともと食が細い子もいれば、ゆっくり少しずつ食べる子や、毎回あっという間に完食する子もいます。まずは“その子にとってのいつもの食べ方”を知っておくことが大切です。

一時的な食欲のムラであれば心配のないこともありますが、まったく食べない状態が24時間以上続くときは注意が必要です。

特に以下のような変化が見られる場合は、体の不調が隠れているかもしれません。

・噛みにくそうにしている
・口の中を気にしている
・舌を頻繁に出す
・お水さえ飲まない

まずは「いつから・どのくらい食べていないか」「どんな変化があるか」を記録しておきましょう。

 

食欲不振を引き起こす主な原因


食欲不振の原因はさまざまですが、主に以下のようなものが考えられます。身体的な不調だけでなく、季節や環境の変化などが影響することもあります。

消化器のトラブル:胃腸炎、膵炎、誤飲など
口腔内の痛み:歯周病、歯折、口内炎など
内臓疾患:腎臓病、肝臓病、甲状腺の病気など
感染症:ウイルスや細菌、寄生虫など
季節要因:暑さ・湿度、冬の代謝の変化
心理的なストレス:引っ越し、家族構成の変化、大きな音など

名古屋市のように夏は暑く冬は乾燥する地域では、気候の変化が体調に影響しやすく、特に猫は環境の変化に敏感です。こうした点にも日ごろから気を配ってあげましょう。

 

こんなときは早めに動物病院へ|受診の目安と注意ポイント


愛犬・愛猫がごはんを食べないとき「もう少し様子を見てもいいのかな?」と悩まれる飼い主様も多いかと思います。ここでは、すぐに動物病院を受診すべき症状と、経過観察が可能なケースの目安をご紹介します。

<すぐに受診した方がよい危険なサイン>

次のような症状が見られる場合は、早めに動物病院へのご相談をおすすめします。

24時間以上、まったく食べない
水を飲めない、飲まない
明らかに元気がない、ぐったりして動かない
嘔吐や下痢がある
よだれが多い、口を開けっぱなしにしている
呼吸が荒い、苦しそう
体温が高すぎる(39.5℃以上)または低すぎる(37℃以下)

特に「食欲不振+嘔吐・下痢・ぐったり」が同時に見られるときは、緊急性が高いサインです。すぐに動物病院に連絡しましょう。

また、子犬・子猫や高齢の犬・猫は、少しの体調不良でも命に関わることがあるため、早めの対応が重要です。

<様子を見てもよい目安と期間>

食欲が落ちていても、水は飲めていて、元気や排泄に大きな変化がない場合は、半日〜1日程度様子を見てもよいケースもあります。ただし、まったく食べない状態が続いたり、少しでも症状が悪化した場合は、できるだけ早めに動物病院にご相談ください。

<通院前に記録しておくとよい情報>

診察をスムーズに進めるためには、「いつから食べなくなったか」「どのくらい食べたか」「お水は飲めているか」といった情報を整理しておくことが大切です。また、嘔吐や下痢の有無元気や行動の変化なども確認しておきましょう。また、普段の様子や異変がわかる動画や写真があると、診察の参考になることもあります。

上社ペットクリニックでは、まずは丁寧な問診と身体検査を行い、必要に応じて血液検査や画像検査(レントゲン・エコーなど)を実施しながら、食欲不振の原因を探っていきます。

 

ご家庭でできる食欲不振時のケアと対応


軽度の食欲低下で、元気や排泄に問題がない場合には、次のような工夫を試してみましょう。

フードの温度を調整する
電子レンジで人肌程度に温めると、香りが立ち食欲を刺激します。

食器を見直す
器の高さや素材によって食べやすさが変わる場合もあります。

静かな環境を整える
人の出入りや騒音を避け、安心して食べられる環境を整えましょう。

ウェットフードやスープの活用
水分補給にもつながります。嗜好性の高いフードを少量試すのも一案です。

強制給餌は獣医師と相談を
無理に口に入れると、かえってストレスになることがあります。

また、回復期にはいきなり元の量に戻さず、少しずつ段階的に戻していくことが大切です。

 

食欲不振を防ぐために大切な日々の健康管理


愛犬・愛猫の健康を守るためには、毎日のちょっとした心がけがとても大切です。ここでは、食欲不振の予防につながるポイントをご紹介します。

<定期的な健康診断と歯科ケア>

歯周病や口内炎など、口のトラブルは食欲不振の大きな原因になります。半年〜1年に一度は、血液検査やお口のチェックを行い、病気の早期発見を心がけましょう。毎日の歯みがきやデンタルケアも、健康維持の大切な習慣です。

<フードの適切な保存と管理>

フードの保存状態が悪いと風味が落ちて、食べなくなる原因になることもあります。
開封後はしっかり密閉し、湿気や酸化を防ぐことが大切です。直射日光を避け、涼しく乾燥した場所で保管するようにしましょう。

<シニア期に向けた食事の工夫>

年齢とともに代謝や消化機能は少しずつ低下します。シニア期に入ったら消化に優しいフードへの切り替えや、獣医師に相談しながら、必要に応じてサプリメントの活用なども検討するとよいでしょう。

<慢性疾患がある子の食事管理>

持病がある犬や猫の場合、薬の影響や病気の進行によって、食欲にムラが出ることもあります。無理に食べさせようとするのではなく、かかりつけの動物病院と相談しながら、体調や状況に合わせた食事管理を続けていきましょう。

毎日の食事の様子やちょっとした変化に気づけることが、食欲不振の早期発見と予防につながります。

 

まとめ


「少し元気がないな」「なんとなく食べないな」そんな小さな変化も、愛犬・愛猫からの大切なサインかもしれません。

「ただの気まぐれかな」と見過ごさず、早めに気づいて対応することが、回復への第一歩です。また、定期的な健康診断と毎日の観察が、愛犬・愛猫の健やかな暮らしを支えるカギとなります。

当院では、飼い主様のお気持ちに寄り添いながら、丁寧な診察と分かりやすい説明を心がけています。気になることがあれば、どんな些細なことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

 

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