名東区上社周辺は、自然が豊かで散歩コースも充実しており、犬や猫にとって快適な環境が広がっています。一方で、草むらや公園などにはノミやマダニ、そして蚊が媒介するフィラリアなど、目に見えない寄生虫のリスクも潜んでいます。
「うちの子は室内飼いだから大丈夫」と思われる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、玄関や窓の隙間から入り込む蚊や、飼い主様の衣服に付着したノミがきっかけで、完全室内飼いの犬や猫でも感染してしまうケースが少なくありません。
今回は、愛犬・愛猫を寄生虫から守るために必要な対策について、獣医師の視点から詳しくご紹介します。
■目次
1.ノミ・マダニ・フィラリアとは?知っておきたい基礎知識
2.寄生虫対策に有効な予防薬と選び方
3.年間を通じた予防スケジュールと管理方法
4.感染するとどうなる?主な症状の例
5.寄生虫が見つかったときの対処法
6.まとめ
ノミ・マダニ・フィラリアとは?知っておきたい基礎知識
ノミやマダニ、フィラリアは、犬や猫の健康に大きな影響を及ぼす代表的な寄生虫です。活動が活発になる春から秋にかけては特に注意が必要で、しっかりとした予防が欠かせません。
<ノミ>
ノミは主に暖かい季節に繁殖しやすく、外出する犬だけでなく、室内で暮らす猫にも感染することがあります。皮膚のかゆみや赤みを引き起こすほか「ノミアレルギー性皮膚炎」と呼ばれる強いかゆみを伴う皮膚炎が起こる場合もあります。さらに、ノミを介して「瓜実条虫(サナダムシ)」という寄生虫に感染することもあります。
<マダニ>
マダニは公園や草むらに多く生息し、春から秋にかけて活発になります。散歩中の犬が付着しやすいほか、外に出る猫やベランダに出るだけの猫でも、マダニが付着する可能性はゼロではありません。マダニは吸血するだけでなく、犬猫ともにライム病やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの危険な感染症を媒介することがあるため注意が必要です。
<フィラリア>
フィラリアは蚊に刺されることで感染する寄生虫です。フィラリアは犬の感染リスクが特に高く、放置すると咳、呼吸困難、元気消失などの症状が現れます。猫でも感染することがありますが、犬とは異なり、ごく少数のフィラリアが肺に寄生するだけでも突然死につながるケースがあるため、猫の予防も非常に重要です。
寄生虫対策に有効な予防薬と選び方
寄生虫対策には、以下のような予防薬があります。犬や猫の年齢・体重・生活スタイルに合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
<ノミ・マダニ対策>
・スポットオンタイプ(首元に垂らす液体タイプ)
・チュアブルタイプ(おやつのように与える錠剤タイプ)
・首輪タイプ(装着するだけで予防効果が持続)
ノミやマダニの予防薬は、それぞれ効果の持続期間や使用方法が異なります。体質や生活環境に合わせて、動物病院で相談しながら選ぶと安心です。
<フィラリア対策>
・スポットオンタイプ(首元に垂らす液体タイプ)
・錠剤タイプ(月に1回の内服薬)
・チュアブルタイプ(月に1回のおやつ型内服薬)
・注射タイプ(年1回の持続型注射)
フィラリア予防は、毎月のお薬だけでなく、1年に1回の注射で済むタイプもあります。忙しい飼い主様やお薬が苦手な子には、こうした選択肢もおすすめです。
飼い主様のご希望や愛犬・愛猫の性格・体質に合わせて、最適な予防方法を一緒に考えていきましょう。
年間を通じた予防スケジュールと管理方法
名古屋市の気候は比較的温暖で、寄生虫の活動時期も長い地域です。犬や猫を守るためには、それぞれの寄生虫に合わせた適切な予防期間と管理が大切になります。
<ノミ・マダニ予防>
ノミやマダニは、春から秋にかけて特に活発に活動しますが、冬でも暖房の効いた室内で生き延びてしまうことがあります。そのため、当院では年間を通じた予防をおすすめしています。
<フィラリア予防>
フィラリアは蚊が媒介する寄生虫です。名古屋では蚊の活動が早く始まり、長く続く傾向があるため、4月〜12月の9ヵ月間の予防が推奨されています。予防を始める前には、すでに感染していないかを確認するフィラリア抗原検査が必要です。
「寒いから大丈夫」と思っていると、思わぬ感染リスクにつながることもあるため、しっかりと継続して対策を行うことが、犬や猫の健康を守るカギとなります。
<予防薬の管理と投薬忘れ防止のコツ>
毎月の投薬を忘れないようにするためには、ちょっとした工夫が効果的です。例えば、以下のような方法がおすすめです。
・カレンダーにチェックを入れる
・スマートフォンのリマインダーを活用する
・ご家族と共有カレンダーで管理する
無理なく続けられるやり方を見つけて、投薬習慣を定着させましょう。
<定期健診で予防効果をしっかり確認>
予防を続けていても、万が一のことがないかをチェックするために、定期的な健康診断を受けることもとても大切です。特にフィラリア予防は「始める前の検査」「予防後の状態確認」の両方が重要です。
愛犬・愛猫の健康のために、予防と健康診断はセットで考えていただくのがおすすめです。
感染するとどうなる?主な症状の例
ノミやマダニ、フィラリアに感染してしまうと、犬や猫にさまざまなつらい症状が現れることがあります。以下のようなサインが見られた場合は、なるべく早めに動物病院にご相談ください。
<ノミ・マダニ感染のサイン>
・激しいかゆみ
・赤みや脱毛、湿疹
・小さな黒い粒(ノミのフン)が被毛に付着
・耳や顔を頻繁に掻く
<フィラリア感染のサイン>
・元気がなく、動こうとしない
・咳や呼吸の浅さが見られる
・食欲の低下や体重の減少
・症状が進行するとお腹が膨らむことも
寄生虫の感染を放置すると、愛犬・愛猫の体に大きな負担がかかるだけでなく、治療にも時間や費用がかかってしまうことがあります。だからこそ「感染させないこと」が何よりも大切なのです。
寄生虫が見つかったときの対処法
ノミやマダニを見つけたときは、無理に引き抜かず、すぐに動物病院へご相談ください。マダニの場合、無理に取り除こうとすると、頭部が皮膚に残って炎症や感染症を引き起こすことがあります。
また、寄生虫が見つかった際は、生活環境の見直しも必要です。寝具やカーペットなどの清掃・消毒を行い、再感染を防ぎましょう。
フィラリアが陽性と判明した場合は、慎重な診断と治療、経過観察が必要となります。自己判断せず、動物病院での適切な対応を受けることが大切です。
まとめ
寄生虫の被害は目に見えにくく、つい油断してしまいがちですが、適切な予防でその多くを未然に防ぐことができます。
上社ペットクリニックでは、毎年春に「フィラリア検査キャンペーン」を実施しており、フィラリア検査とあわせて健康診断も受けていただける機会をご用意しています。年に1回の検査と予防を通じて、愛犬・愛猫の健康をしっかり守りましょう。
「なんとなく心配…」「毎年のタイミングがわからない」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
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